※このページでは、"学生視点"で研究室紹介をさせてもらいます。

研究室の雰囲気

萩原研は研究に対して活発であることは言うまでもありませんが(!)、その他の要素としては「先端技術」「自由」「仲良い」の3つで成り立っていると言ってよいでしょう!

「先端技術」 ---人工知能(ニューラルネットワーク)---

一番大切なのは、扱っているテーマです。萩原研究室での研究テーマのメインは、人工知能の中核技術であるニューラルネットワークです。画像認識、画像理解、画像生成、機械翻訳、自動対話などの分野で、これまで長い間不可能であった多くの事が、ニューラルネットワークの利用により可能となっています。
しかしながら、脳に学ぶという点では、まだ1割にも達していません。人間の持つ高度な思考や判断、創造性など、現在のニューラルネットワークではほとんど扱うことができていません。まさにこれからの重要分野です。
私達の脳は現在のニューラルネットワーク、例えば深層学習のように膨大な学習データを必要としません。また、学習もずっと効率的でかつ柔軟に行われます。意欲とアイデアで、いきなり世界の先端に立つことができる実にラッキーな状況にいます。

「自由」

 いわゆる"コアタイム"(研究室に来室し研究することが義務付けられている時間帯)が存在しません!
なので、自分のペースに合わせて都合の良い時間帯に研究することが可能です。
ただ、そう聞くと不安になる人もいることでしょう。
「はたして研究室メンバーできちんと顔を会わせたり、先輩に研究の相談をすることが可能なのか」と。
その点も大丈夫!
"サーベイ輪講"と呼ばれるミーティングが週に1,2回あり、個々人(各回1人か2人)が論文や書籍を通して勉強した内容を全体に発表する機会を設けているのです。
このミーティングのおかげで、論文や書籍を読む手間なく最新の研究動向・面白い研究手法などをつかむことが可能です。
また、お互い質問やら意見交換が出来るこの場を通して、論理性・アイディア力・プレゼンテーションスキルといった、研究や就職に必要となる要素を習得できちゃいます。
もちろん、学期毎に1人2回程度は発表を担当してもらうことになりますが、得られる知識は「2回×メンバー数」であり、広範囲をカバー出来ることが分かるでしょう。
秋学期には"分野別ミーティング"が行われます。
まず研究テーマの類似性からいくつかのグループが作られます。各グループでは、研究で困っている点などを皆でシェアーし、解決を図ります。次に、秋学期の"全体ミーティング"では、グループ内ミーティングで解決できなかった問題を、今度は研究室メンバー皆で考えて解決を図ります。このように研究で困ったことなどがあっても、一人で悩む必要はありません。
このように研究室メンバー皆で解決しようという雰囲気になっています。これは同時に、研究室の他のメンバーの研究の深い理解にもつながります。
あと次の項でも述べますが、「ちょっと大変そう…」などと身構える必要は全くないです^^

「仲良い」

二つ目に挙げるべき要素としては、やはり「先輩後輩関係なく仲が良い」ということですね!
他の研究室では、メンバー用の居室が全く別々のところに分かれていて交流が少ないところもありますが、萩原研は2013年の3月に2つの部屋が連結している部屋に移ったため、広い1つの部屋で研究を行っています!
なので、先輩が軽い感じで話し掛けに来てくれたりします♪
このタイミングで疑問点をぶつけることも出来るし、逆にこちらから先輩に押し掛けることも簡単!(まぁあからさまに忙しそうにしている時は雰囲気を感じ取って欲しいですが)
また、雑談の中から新しい研究テーマが生まれることも多々あります。
とにかく、「ビシビシしごいてくよー♪」という厳しい先輩はいないので、研究にしても授業にしても(私生活にしても!)不安があれば何でも話せて解決します。安心してください。

さらに、研究室以外での企画も豊富です。こちらも後述しますが、いたる所で様々なイベントが発生します。
体を動かすのが好きな人もそうでない人も、十分に楽しめるので問題なしです。

研究内容


萩原研には主に基礎言語画像感性というグループが存在します。
また、最近ではこうしたグループの垣根を越えて研究を進める人もよくいます。
ただ、「"言語"とか言っても具体的に何をしてるの?言葉の解析??」とよく分からない人が多いと思うので、以下に近年の卒業研究テーマを簡単に書きます。

基礎班

  • 自動成長するニューラルネットワーク・・・人間の脳を模したモデルとしてニューラルネットワークが有名ですが、既存のモデルはネットワークの構造が固定されているものがほとんどです。萩原研究室では、学習中に層数が増え徐々に複雑になっていくこれまでにない新たなニューラルネットワークの研究をしています。
  • クラスタリングを用いた表現学習・・・知的な情報処理を行う際、与えるデータをどう表現するかの選択が重要になります。この研究では、クラスタリングというデータの自動分類の手法を応用して、知的情報処理に適したデータ表現を自動で獲得することを目的としています。
  • RBMを用いた連想記憶・・・人間が行っている知的処理の一つに、たとえば「リンゴ」から「バナナ」を思い浮かべる連想がありますが、ニューラルネットワークのモデルの一つである"RBM(Restricted Boltzmann Machine)"を用いて、このような連想を行える記憶ユニットを実現しました。
  • LSTMモデルの改良・・・言葉などの前後関係が重要になる時系列データを処理する主流のモデルとして、過去の情報を柔軟に保持、忘却することができる"LSTM(Long-Short Term Memory)"と呼ばれるものがあります。萩原研究室では、LSTMの性能を向上させる研究も行っています。
  • HTMモデルの改良と機械翻訳への応用・・・時系列データの予測を行うモデルとして、人間の脳の大脳新皮質の構造を模した"HTM(Hierarchical Temporal Memory)"と呼ばれる新しいモデルがあります。この研究ではHTMモデルを改良し、さらに機械翻訳への応用を試みています。
  • ゲーム木探索と強化学習・・・意思決定アルゴリズムの一つであるゲーム木探索を強化学習と組み合わせることにより、主にボードゲームにおける効率的な学習を目指しています。

言語班

  • ニューラル言語モデルの内部分析と話者性の変換への応用・・・今日の対話システムの多くはニューラルネットワークをベースとしていますが、この研究では話者性が変わる単語の変換(例えば、「私」⇒「俺」といった一人称の変換)によりネットワーク内部の情報がどのように変化するかを分析し、さらに意図的な話者性の変換も試みます。
  • 類語を考慮した単語分散表現の段階的学習・・・自然言語処理において、単語の意味をベクトルの形で表現する"単語分散表現"が重要になります。単語分散表現を学習する代表的なモデルとして"word2vec"がありますが、この研究では類語の利用とカリキュラムラーニングの手法を合わせて用いることで学習精度の向上を図ります。
  • 対話相手の個性を学習可能な非タスク指向型対話システム・・・非タスク指向型の対話システムは、人間と雑談を交わすことを目的とした対話システムです。この研究では、相手の個性を対話中に自動で学習できるような対話システムの構築を目指しています。
  • 自動対話システム・・・Siriなど、会話によるインタフェースが今後ますます重要になります。LSTMを用いたニューラルネットワークによる自動対話システム構築の研究を行っています。その一つの成果が、2018年度の学会論文賞受賞(三上佳孝,萩原将文, “対話における文脈を考慮した分散表現生成ニューラルネットワーク”,日本知能情報ファジィ学会誌)となっています。

画像班

  • 遮蔽物体のある画像の物体認識・・・画像中の物体の認識は近年大きく進歩し、ついには人間の認識率をも上回る結果が報告されています。しかし、画像に邪魔な物体があると途端に精度が悪くなることが知られています。そこで、"RBM(Restricted Boltzmann Machine)"を内部に埋め込み、遮蔽で失われた情報を想起することで精度の向上を目指しました。
  • 表情認識システム・・・人間とロボットがコミュニケーションをとる際、表情から感情を読み取ることが大切になってきます。この研究では、人間の顔の左半分に表情がより強く現れるという心理学の知見を応用し、"CNN(Convolutional Neural Network)"を使ってより精度の良い表情認識システムを目指します。
  • 物体の大きさ情報の自動獲得・・・私たち人間は、視覚情報から無意識に物体の大きさについての常識を獲得しています。このシステムは"R-CNN(Regions with Convolutional Neural Network)"による物体検出と物体の奥行情報の推定により、画像中の物体の大きさを推定します。
  • 属性情報を付与した顔画像の生成システム・・・近年のディープラーニングの大きな発展により、困難と思われてきた画像の自動生成も可能になりました。このシステムでは"GAN(Generative Adversarial Network)"という画像生成モデルを改良し、「笑顔」などの属性情報を与えることで、その属性を持つ顔画像をします。
  • 表現豊かな画像解釈文生成・・・人が画像を見た際には、さまざまな印象を受けそれに応じた感情を持ちます。この研究では画像処理用、および言語処理用の2種類のニューラルネットワークを用いて、情緒が感じられるような表現豊かな画像解釈文生成を行っています。

感性班

  • 取扱説明書や新聞記事からの漫画自動生成・・・感性班では一風変わった面白い研究を積極的に行っています。この研究は、文字がメインの取扱説明書や新聞記事を漫画に自動で変換するというものです。現在では文の重要度やキーワード、コマ割りなどに着目することでより自然な漫画を生成することを目指しています。
  • ファッション画像からの感性語推定・・・ファッションと感性語には密接なつながりがあります。この研究では、ファッションの画像を"CNN(Convolutional Neural Network)"に入力することで、そこから適した感性語(綺麗、クラシック、柔らかい)などを推定させることを目指します。
  • 未学習物体の感性語推定・・・私たちが未知の物体を見た時に抱く感情は様々です。この研究では、未知の物体に対する感性語を、物体認識の結果に関連する感性語と見た目の色から推定した感性語から推定します。

以上に挙げた研究は卒論、つまり学部4年の数か月間になされたものであり、さらにそこから一部を取り出してご紹介しました。
修士ではこうした研究をさらに昇華したり、派生したテーマでさらに深めていくことになります。
萩原研では未開拓分野にも積極的に挑戦しており、精度として改良の余地があるものもありますが、国際会議や論文誌掲載(これが一番すごいこと)をしっかり果たすなど、外部からの評価も得られています。
また、上記テーマ例を見ることで、研究テーマが多岐にわたることが分かるのではないかと思います。
なので、萩原研に来ればきっとあなたの"やりたいこと"が見つかり、さらにはそれを深めることが出来ると考えています。

進路・就職状況

こちらについては、よくある質問とその回答にも記載がありますがあらためて。
過去の進路には、以下のようなものがありました。

野村総合研究所
NTT系(NTTデータ, NTTドコモなど)
ソニー
新日鉄住金ソリューションズ
ソフトバンク
KDDI
ゴールドマンサックス
電通
テレビ東京

その他、歴代OBの方は日本テレビアナウンサー、ゴールドマンサックス元副社長、ベンチャー(「株式会社ネイキッドテクノロジー」、「株式会社ロケーションバリュー」起業)などでも活躍しています。

研究以外の企画

研究室において様々なイベントを企画しています。これが楽しみで入った人もいるとかいないとか?
とりあえず、研究室生活でもストレスが溜まることはないというのは保証します(結構大事です)。

企画名 概要
ピザ会 ピザを一人800円位で食べる。6種類食べれます。
テニス会 矢上のコートを借りてテニス。テニスは慣れるまで多少大変ですが。
ゲーム会 多種多様なゲームをする。カタンやトランプやTVゲーム等
鍋企画 寒い日には鍋です。研究室のIHが頑張ります。
食事企画 研究室で夜飯を作ります。今のところハズレなし。
スイーツ企画 巨大パフェ食ったり、食い放題行ったり。
映画鑑賞 研究室がシアター

この他にも面白そうな企画があればじゃんじゃん企画してます。
むしろ是非提案して下さい。