どんなに高いレベルの知的な情報処理システムが出来たとしても、それでは不十分です。なぜでしょう? 感性感情など、に関係する部分が欠けているからです。

萩原研でめざしているロボット頭脳は、単に賢いだけではありません。人間やその他の環境とうまくやっていける感性や感情、心を持つロボット頭脳をめざしています。 そのために感性情報処理としては、感性工学の基礎から応用まで、そしてエンタテインメントやデザイン、癒しの分野を含めて幅の広い研究を行なっています。
基礎研究では、言葉のイメージ推定のように言語情報処理のツール(デジタル化された言語資源(下図参照))や手法を利用するものもあります。
応用研究としては各種応用システムがあり、デザインの領域まで考慮しています。

・ 「楽しい」とは?            → エンタテインメント

・ 「」、「かわいい」、「萌え」とは? → デザイン 

・ 「快い」とは?             → 癒し

ロボット頭脳以外では、ゲームが大きな産業になったように、今後は「デザイン」や「癒し」が重要で大きな産業になると私たちは考えています。

具体的な研究テーマには以下のものがあります。

 
かわいいキャラクターの自動生成システムと解析
Automatic generation of Kawaii characters and their analyses

 「かわいい」は日本発のユニークな感性で、世界から注目を集めつつあります。本研究では、かわいい3次元キャラクターを自動生成するシステムを構築します。そして多くのかわいいキャラクターを生成し、主観評価実験により、かわいらしさを明らかにする解析を行います。
  

 
 ゆるキャラの自動生成システムと解析
Automatic generation of mascot characters and their analyses

 郷土愛、ユニークさ、愛らしさ、そしてゆるさを兼ね備える「ゆるキャラ」は、毎年コンテストが行われ、その経済的な効果も非常に大きい。人気の高いゆるキャラを分析することによりその特徴を明らかにし、これらの知見を用いて自動生成システムを構築しました。
  

 文脈に合うロボットゼスチャ自動生成
Robot gesture generation according to the context

 近い将来普及するとロボットは、必ずしも人間に酷似したヒューマノイドと型は限らないと考えられます。人間とのコミュニケーションにおいて、ロボット特有のゼスチャの重要性は高まると予想されます。
ここでは人間とのコミュニケーションにおいて効果的なロボット特有のゼスチャ生成の研究を行います。

 

感性データマイニング
Kansei data mining

 クラウドコンピューティングなどの発達に伴い、扱われるデータ量は飛躍的に増加しビッグデータと呼ばれるようになりました。その扱いは企業の生命線にもなると言われています。
本研究は、データを単なる物理量として扱うのではなく、感性工学的な側面も考慮して総合的に扱うことにより、新しい時代のデータマイニング手法の開発をめざしています。
 

 
感情シミュレータ
Emotion simulator
 私達の感情は、外からのさまざまな入力情報により変わります。本研究はこれをモデル化し、現在の感情と外部からの入力によって、次時刻の感情をファジィ推論を用いて推定します。

会話システム、各種インタフェースへの応用が考えられます。    

 
Crest プロジェクト
研究代表者 管理工学科 山口先生

    ロボットカフェ Robot cafe

ロボットの普及を考え、サービス業への実践的応用をめざすものです。ロボットなどによる視覚情報から、顧客の気分、感情、嗜好などの推定を行います。そして、自然で気配りのある快い会話を行うことのできるロボット補助型接客をめざします。

 
Crest プロジェクト
研究代表者 管理工学科 山口先生

 ロボット補助型教育

Robot-supported education
 教育の現場でのロボットの実践的活用をめざすものです。ロボットなどによる視覚情報から、児童の気分、感情、集中度、興味度などの推定を行います。そして、やる気を引き出すロボット補助型教育をめざします。

言葉のイメージ推定
Estimation of image of words

 言葉の持つイメージは非常に広く、さらにそれらが組み合わされることにより、無限に広がるとも考えられます。本研究は、豊富なデジタル化された言語資源とWeb情報を効果的に利用することにより、言葉のイメージの自動推定にチャレンジします。