1. 研究室選びの前に
–知っていると必ず役立つこと–
これまで(3年生まで)求められていたこと
試験に強ければいい事ずくめ
そのためには
・理解力
・記憶力
さて、社会に出てから必要なことは、
リーダーシップ、行動力、広い視野 以外で実はとっても重要なこと…それは、
1) 先を読む力
例 コンピュータをつなげるとおもしろそう
→ インターネット
インターネットがテレビに続くメディア・広告になる。
→ Google、アマゾン
小型音楽プレーヤ だけどデザインが重要
→ iPod(アップル)
例えば為替レートを100%読めれば、億万長者にもなれる。
2) 自分だけが持つ能力
ナンバーワン そもそもなるのが大変 多くの人がめざすから
オンリーワン 対象設定がやや大変
だけど先を読めれば難しくはない
では、これらの力をつけるには
1) 先を読む力
学習
これまでの流れを理解する
2) 自分だけが持つ能力
学習
斬新な(ユニークな)視点
という訳で、まずは「流れ」をちょっと考えてみましょう
人類社会から見ると、↓
価値観なんて、こんなに変わっています。 ↓
産業もこんなに変わっています。 →
20世紀の技術について考えてみると…..
—花形産業は(残念ながら意外に)もって10年—
電話網が全国に張り巡らされた電話全自動化(1979年)から30年近く経ち、高速インターネットの常時接続が広く普及し、無線ネットワークも普及しています。新幹線やジャンボジェット、超高層ビルに代表される20世紀の技術は、高速化、大量化、大型化など、システム単体の特性の性能アップをめざしたものでした。
一つの産業が20年も30年も興隆を極めることは歴史的にあり得ません。鉄鋼業、造船業、繊維工業などを顧みても歴史が証明しています。
21世紀のキーワードには、環境、高齢化、自然、安全、いやしなどがあります。次の産業は、これらのキーワードを含むものでしょう。例えば、
・対話によるウェブ検索
・ユーザの要求に合わせて検索結果をまとめてくれるシステム
・対話的に使い方を教えてくれるシステム
・使う程に賢くなるシステム
・会話をしてくれるシステム
などが出現して来るでしょう。つまり、知恵や感性、遊び心のあるシステムです。これらは各種ロボットや家庭機器、公共機器、ネットワークなどに広く組み込まれて行くでしょう。
21世紀で重要となる分野はここで明らかになったと思います。ずばり目標は、誰でも持っている脳です。人間のように柔軟に情報処理できるだけでなく、人を思いやることができ、そしてコンピュータにはない感性を持つロボット頭脳で す。 伝統的な人工知能では、エキスパートシステムに代表されるように論理処理を正しく行なえることをめざしています。そのための基本的な処理は、“論理、ロ ジック”です。しかしながら、これでは柔軟な情報処理は厳しく、さらに思いやりや感性など人間に不可欠で重要な要素は全く扱われていません。 感性を持つロボット頭脳の基本設計ができれば、あとは要求されるシステムのレベルに合わせて変更を加えるだけでさまざまなシステムを作ることができるよ うになるでしょう。
ロボット頭脳へのアプローチ
萩原研究室では、右の図のような技術を総合的に駆使するアプローチをとっています。
まず脳の基本要素の神経細胞レベルに基づくニューラルネットワークです。人間の脳には、140億もの神経細胞があるといわれています。これらによる情報処理を、人工ニューロンが結合された人工ニューラルネットワークによって模擬します。
次にファジィです。これは人間の主観や勘など、あいまいなものをうまく扱えるように考え出された技術です。
感性工学は、コンピュータにはなく人間に特有な感性に焦点を当て、それを工学的に扱うことをめざすものです。
進化コンピュテーションは、 時間軸に着目し世代交代による進化を扱っているものです。地球ができて45億年。水素、窒素、炭素、酸素などが進化し、生命が芽生え、人間のような生物が 出現しました。つまり、進化により「無」から「有」が生じたわけです。この進化の過程の中には新しい画期的な情報処理方式のアイデアがたくさんつまってい ます。現在は、遺伝的アルゴリズムや免疫的アルゴリズムなどが知られています。
人工生命は、個体の相互作用を考慮したものです。たとえば、鳥の群れを参考に作られたPSO(粒子群最適化)アルゴリズムというものもあります。
4. 萩原研究室でのアプローチ
画像の理解、ことばの理解、感性の理解
これらの統合 →ロボット頭脳へ
ニューラルネットワーク、ファジィ、感性工学、進化的コンピュテーション、人工生命等を萩原研究室では扱ってはいますが、これらはいわばツールに過ぎないと考えています。私達の研究室では、人間の情報処理に着目したアプローチをとっています。
・画像の認識・理解・解釈 視覚情報は人間に多くの情報をもたらします。例えば風景画像のようなものです。これらの認識、理解、解釈をめざします。
・ことばの意味理解 言語による相互作用により、連想、思考、直観、創造、推論、判断などのさまざまな知的な情報処理が行なわれます。これらの工学的な実現を研究しています。
・感性の理解 ここでさらに重要な点!が、人間にのみある感性です。快さ、美、癒し、疲れ、デザインなどを工学的に扱う研究を行なっています。
脳型コンピュータと、目標が非常に大きいですから、3つの情報処理を統合する前に各分野でのレベルを大きく上げる必要があります。
↑ これらは、ここ数年のテーマです
↓ いくつかの研究のイメージ画像です。 さらに下に、詳しい説明へのリンクがあります。
← 3D空間自動生成の最初!の
研究成果です(2000年度卒論)。
最初は質よりも”発想”の方が
はるかに大切です。
以下のテーマは、わかりやすい(と思います…) 詳しい説明があります。
(jpgのため軽い(はず)です。
わかりにくかったら、遠慮なく質問に来てください…
・ 画像の認識と理解
・ フォント自動作成
・ イラスト自動生成
・ 画像によるセキュリティー 不審なやつとは?
(まずは、全員の安全と健康 )
・ 研究室生活も研究も楽しく。
・ 楽しくやりがいのあるテーマ、ディスカッションによって選定
・ 全員でパワーアップ
そのために
仲間や教員と多く話(ディスカッション、(雑談(?))をしよう
これまでの教員生活を振り返ってみると、次のような経験則を確信しました。
“優れた成果を出す学生さんとは、コミュニケーションが良くとれた。”
研究にはユニークな発想が大切ですが、その進め方などには経験も大切です。また発想そのものが、他愛もない会話によって芽生えたことも少なくありませ ん。自分では大したことないと思っているアイデアが、実は非常に画期的であることもあります。また、経験に基づいたサジェスチョンを受け入れる事ができる かどうかで、その後が大きく変ることがあります。
一緒に考え、時として悩みそして解決策を案出する、(そして学生さんの力や自信がつく。)これが理想です。
やる気と能力を引き出す 楽しく親身な指導、ディスカッション (教員目標)
学生のうちに学会発表は当然、できるだけ国際会議で発表するように勧めています。
ここ2,3年は6,7割なので、がんばります!
今年だと、5月にヨーロッパでの国際会議で発表する予定だった学生がいます(新型インフルエンザで中止)。
また、2006年に修士課程1年生のうち4名が発表した国際会議がありました。そこでは何と全員がセッションプレゼンテーション賞を受賞しました。
その2年前の2004年には、なりゆきで私が実行委員長となった国際会議がありました。SCIS & ISIS 2004 (Joint 2nd International Conference on Soft Computing and Intelligent Systems and 5th International Symposium on Advanced Intelligent Systems,ソフトコンピューティングと知的システム国際会議、および先端知的システム国際シンポジウム (合同開催))です。
ここでは、研究室関係で9件の論文発表!! これらの中で、何と! 4件がセッションプレゼンテーション賞を受賞しました。
萩原研での卒業研究はほとんどすべて論文誌に投稿 そして掲載へ
そもそも、論文とは何でしょうか?
工学系で一番価値のある資格、それが工学博士です。その博士号を取得するのに、論文が2通程度必要と言われています。その半分が、卒論で得られることになります。
博士号について
現博士課程の学生さん2名はみな来年度の博士取得を目指してがんばっています。
昨年度は春学期に、堀田君(感性工学)、ケビンさん(進化コンピュテーション)の2名が博士号を取得しました。
過去のテーマには、発想支援システム、画像理解システム、ニューラルネットワークと多岐に渡っています。これらは今後ますます重要性が増し、社会的なニーズも増える研究テーマです。
テーマを見るとわかるように、伝統的な分野ではなく、どれも非常に新しい分野でのチャレンジによるものです。自然や人間が中心となるべき新しい時代を切り開いていくビッグな人材になっていくことでしょう。
萩原研究室では、博士号取得をめざす学生さんの希望は大歓迎です。