感性情報処理

 どんなに高いレベルの知的な情報処理システムが出来たとしても、それでは不十分です。なぜでしょう? 感性や感情など、心に関係する部分が欠けているからです。

 萩原研でめざしているロボット頭脳は、単に賢いだけではありません。人間やその他の環境とうまくやっていける感性や感情、心を持つロボット頭脳をめざしています。 そのために感性情報処理としては、感性工学の基礎から応用まで、そしてエンタテインメントやデザイン、癒しの分野を含めて幅の広い研究を行なっています。
 基礎研究では、言葉のイメージ推定のように言語情報処理のツール(デジタル化された言語資源(下図参照))や手法を利用するものもあります。
 応用研究としては各種応用システムがあり、デザインの領域まで考慮しています。

    ・ 「楽しい」とは?            → エンタテインメント

    ・ 「美」、「かわいい」、「萌え」とは? → デザイン 

    ・ 「快い」とは?             → 癒し

 ロボット頭脳以外では、ゲームが大きな産業になったように、今後は「デザイン」や「癒し」が重要で大きな産業になると私たちは考えています。

 具体的な研究テーマには以下のものがあります。

研究内容

ニューラルネットワークによる一般単語感情辞典

単語には、喜、怒、哀、楽のように明らかに感情を表す単語があります。しかし一般の単語にもイメージがあり、大小の差こそあれ、感情に関連するイメージがあります。例えば、刃物と聞くと怖いイメージがあります。

本研究では、一般単語の有する感情イメージをニューラルネットワークによって推定し、一般単語感情辞典を作成しました。

畳込みニューラルネットワークを用いたファッション分野における感性語推定システム

ファッションと感性語には密接な結びつきが有ります。ファッションとは、自己表現の一種として存在しており、個人個人の感覚に依存しますが、アイテムを選択する際には店員の説明・カタログ・通販サイトでの紹介文を参照することが多く、アイテムの雰囲気を感性語が表現しています。
既存研究で、単色・3色の組み合わせにそれぞれ感性語を当てはめたデータベースがあります。本研究ではファッションアイテムの形状や質感を考慮し、最新のファッション用語も取り入れた感性語を出力するシステムを研究しました。

コマ割りに着目した 新聞記事からの漫画自動生成システム

第9回メディアに関する全国世論調査によると、新聞を読んでいる人は全年代で減少傾向であり、特に20~30代が顕著です。20代で朝刊を毎日読んでいる人は7.8 %となっています。そこで、新聞記事データを漫画形式に変換することで、より親しみやすい新聞を読者に提供し、文の重要度や極性、キーワードなどを利用して漫画の構成要素を選択することで、記事に合った漫画を自動で生成可能なシステムを研究しています。

取扱説明書からの 漫画生成支援システム

一般的に、取扱説明書は一般的に多量の文字により記載されており、理解するのに多くの時間が必要です。更に、様々な機能の説明があるため量が膨大であり、基本操作のみ知りたいユーザには面倒な物となっています。そこで、低コストでユーザによる取扱説明書の漫画化を支援するシステムを研究しました。

未学習物体の感性語推定

人間が未学習物体を見た際の反応は様々です。その際に知識を用いて、物体推定と感性語連想を行います。本研究では、学習済み物体の知識から未学習物体を推定し、3種の感性語推定を行います。
感性語A:推定物体名と感性語の共起を利用
感性語B:入力画像の色情報を利用
感性語C:感性語Aと感性語Bを使い分け

過去の研究

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